3.2 OTECのしくみ
図4はOTECの基本的な概念を表したフロー図であります。主な構成機器はタービン、発電機、蒸発器、凝縮器およびポンプからなり、これらは配管で接続され、作動流体としてアンモニアが封入されています。作動流体はポンプにより蒸発器へ送られ、表層の温海水によって加熱され、20℃前後で蒸発し蒸気となります。この蒸気はタービンを通過することにより、タービンと発電機を回転させて発電します。タービンを出た蒸気は凝縮器にて、深層より汲み上げられた冷海水により冷却され再び液体となります。これは1851年にランキンが確立したいわゆるランキンサイクルを基本としたサイクルであります。原理的には従来の火力発電や原子力発電とほとんど同じですが、大きく違う点は、サイクルの作動温度レベル、蒸発・凝縮温度差、そして作動流体に沸点の低いアンモニアを用いるところです。
なお、サンシャイン計画時点では、このランキンサイクルがベースで検討が進められていたため、それほど高い効率が得られませんでした。
作動流体に純物質を用いるランキンサイクルに対し、ウエハラサイクルではアンモニアと水の混合媒体を用います。(図5)作動流体に混合媒体を用いると相変化(蒸発および凝縮)中に温度変化を伴うため、サイクルのする仕事量が増加し、熱効率がアップするのです。混合媒体を用いるアイデアは1985年にアメリカの科学者カリーナによって考案されたものでありますが、ウエハラサイクルではタービン抽気によって効率を向上させるとともに、混合媒体サイクルで最も負担の大きくなる凝縮器の負荷軽減を図るなど、より実用的な開発がなされました。
佐賀大学の上原グループはサイクルの研究と並行してOTECの心臓部ともいえる熱交換器の研究にも力を注いできました。これまで、蒸発・凝縮のような相変化を伴う熱交換器はシェル&チューブ式熱交換器でないと難しいといわれてきましたが、研究を重ねる中で伝熱効率に優れたOTEC用のプレート式熱交換器を開発するに至りました。これにより熱交換器の所要量、ひいては発電プラントコストを大幅に削減することにつながり、OTECの実用化を一層現実的なものとしました。
図4.OTECの原理
図5.ウエハラサイクル