(記事一部抜粋)
佐賀大学理工学部の上原春男教授らが研究開発を進める海洋温度差発電が、アジア諸国で実用化へのピッチを上げている。発電効率の良い新システム開発により、課題だった発電コスト低減が図られたためで、インド政府が世界初の実証プラントを建設しているのをはじめ、台湾でも海浜リゾート施設での利用計画が進行中。環境保護の機運が高まる中、クリーンエネルギーとしてあらためて脚光を浴びる。
インド国立海洋技術研究所は97年から佐大と共同で実用化研究に取り組む。現在、インド南端のポーク海峡に千キロワットの実証プラントを建設中で2000年10月には試験を始める予定。2003年の二万五千キロワット以上の商業用プラント開発を目指し、技術やコスト面の検証を進める。
台湾南東部に位置する台東県は、太平洋岸のチンルンに整備するマリンパークの電力を海洋温度差発電で賄う計画。佐大に三百-五百キロワットのプラントの設計を依頼しており、発電に際してくみ上げる深層海水も水産養殖などに利用し、観光資源にしたい意向という。
上原教授は海洋温度差発電に対するアジアの関心の高まりを「環境を汚さないだけでなく、くみ上げる海洋深層水を利用して真水が作れるなど発電の副産物≠ェ魅力になっている」と分析。インド国立海洋技術研究所は海洋温度差発電の発電単価が火力や原子力に劣らないとする試算も発表しており、「実用化への動きは今後いっそう広がる」と期待している。
海洋温度差発電は、海面付近の高温の海水を使って気化したアンモニア蒸気でタービンを回して発電、この蒸気を深海の低温海水で冷却して再び液化し循環させる仕組み。発電効率の悪さが難点だったが、上原教授らが96年、発電効率が従来の1・5倍になる新システムを完成。これを受けてアジア諸国から佐大に共同研究などの依頼が相次いでいた。(谷口)



