(記事一部抜粋)
熱い、冷たい。周囲と温度差があるということは、それをエネルギーに換えられるということだ。
しかもこの天然資源は基本的にただ。廃棄物も、二酸化炭素も出さない。太陽光、風力に続く、第三のクリーンエネルギーを、
どう使っていくのか。各地で、新しい試みが始まっている。
海水は、深くなるほど冷たい。低緯度地方なら、海面下千メートルでは、海面近くとの差が20〜25度もある。
温泉に比べれば小さいが、量は無尽蔵。単純計算すれば、日本の経済水域だけで年当りにして90億トンの原油が眠っているのと同じにことになる。
これを利用して電気を作る海洋温度差発電は、19世紀には考えられていた。
実用化は困難といわれる中、佐賀大学海洋エネルギー研究センターの上原春男教授は73年に開発に着手、
試行錯誤を重ねて94年、ウエハラサイクルという新方式にたどり着いた。循環する媒体に純粋なアンモニアではなく、
アンモニアと水の混合物を使う。サイクルを2個連結した形式にしてみると、一気に効率が上がった。
「これでやれそうだという感触が得られた」と上原さんは振り返る。
海水淡水化装置を併設すれば、発電の一方で、通常の真水と深層水の2種類の水が取れる。ミネラルウォーターとして飲むもよし、
農業用水に使うもよし。電機分解して燃料電池用の水素を得ることもできる。養分に富む深層水を海に戻せば、
新しい漁場ができることが期待できる。
適用可能な国が、熱帯や太平洋の島国を中心に100。半数ほどがウエハラサイクルによる発電の導入を検討、インドなどでは、
日本に先行した形での実証実験が始まっている。エネルギー不足とは無縁そうな中東の産油国も強い興味を示す。
海水のほかにも、原油の精製で出る大量の熱水を発電に使いたいらしい。



